iOS 13 気になる新機能レビュー
①カメラ機能
追加される以下の3つの機能は iPhone XR 以降しか対応しません。
- ポートレートライティングの強度調整
- ハイキー照明(モノ)
- Portrait Segmentation APIのアップデート
②HomeKit Secure Video (2019年秋以降)
- これは iCloud ベースのホームセキュリティサービスです。Apple ユーザにとってはとても魅力的なサービスに見えます。
- ホームセキュリティカメラは、暗号化された状態で約10日分 iCloud に保管され、カメラと Apple デバイス間はエンドトゥーエンドで暗号化が施されます。いつでも好きな時に自分のデバイスからカメラを確認できますし、何か動体検知した時に通知を受ける事も出来ます。このサービスは、1カメラ辺り200Gプラン、5台までの2Tプランがあり、契約している iCloud 容量は圧迫しません。Netatmo、logitech、eufy Security などから対応カメラが発売予定されています。ご多分に漏れずサブスクリプションサービスになると思われますが、正直今までの HOMEKit は別に無くてもいいやってものが多かったのですが、こんなホームセキュリティあったら良いなと思えるサービスです。
- 当社はスタッフにも定期的なセキュリティ知識教育を施しているのですが、丁度先日ネットワークカメラの危険性を講義したばかりでした。安全のために家に取り付けた筈のネットワークカメラが実は逆に自分を危険に晒しているケースが多いという話しをしました。Apple の HomeKit Secure Video ではそんな心配はありません。
- 余談ですが講義の中で Wi-Fiルーターの管理画面をブラウザで見せて、皆に「この管理画面はどこにあるか?」と聞いてみたところ、「インターネットのどっか」と回答した人が多く居ました。Webブラウザで見ている管理画面はルーター機器の中に構築されているWebサーバで実行されています。故に管理者のIDとパスワードが簡易な購入初期のままになっていると、ネットワークカメラはあっという間に見つけ出されてな映像を盗聴される結果となります。それはWi-Fiルーターもネットワークカメラも、世にあるIoTと言われる機器も同じです。そんな野ざらしの世界中のネットワークカメラを集めたサイトがあるくらいです。皆さんも管理者のパスワードは購入したらすぐに強固なものに変更してくださいね。
③新しいマップ
- これはまだ米国だけ先行リリースで、2020年以降が各国順次拡大ということで、Google Map のストリートビューと同じような Look Araound 機能も一部の米国のみ対応とのことです。CarPlay ユーザにとっては地図はとても重要なので日本でのリリースが待たれます。
④ショートカット
- ショートカットのプログラムを読んでみましたが、割と新たな脆弱性につながりそうなオートメーションプログラムになっていまして、ショートカットを使った悪意のある攻撃がしばらくしたら出てくるんじゃないだろうかと考えていました。そもそも自分ではショートカットの活用法が未だに見いだせていないため、良い使い方があれば是非教えてほしいのです。
⑤AirPods
- SONY が好きだったスティーブジョブズさんも喜びそうな Walkman へのオマージュたっぷりな、1台のiPhoneに2つの AirPods をペアリングできるこの機能。自分の大切な人と同じ時間と同じ音楽を共有できるというのは素敵な機能です。
⑥キーボード
- Quickpath というキーボードが実装されました。日本語では「なぞり入力」と呼ぶそうですが、使い方がかなり謎なキーボードです。多分ですが、人間工学的に指を押して離して押してとやらなくて良いという点が評価ポイントなのだと思いますが、一体どういうロジックでこの予測が出るの?というのがイマイチ理解に及んでいません。多分英語の単語力がイマイチなだけなんでしょうが・・・これ日本語にも展開されるのでしょうか?日本語には予測変換という似たような機能がもうありますしね。
⑦CarPlay
- CarPlay ユーザには色々うれしい機能が搭載されましたね。でも自動車側のカーナビはアップデートしなくて良いんだろうか?とも不思議になります。CarPlay は優先接続しないと使えないというのが、やっぱりイマイチ不便さを感じるポイントになってるように思えます。
⑧パフォーマンス
- Face ID の認識は体感できるレベルで早くなっています。アプリのダウンロードサイズが小さくなったのも素晴らしいですね。
⑨AR
- 拡張現実(AR)エンジンでは、アプリに人の動きに連動するモーションキャプチャが実装可能になります。拡張現実内のオブジェクトと、リアルな人や物との前後関係を正確に認識するピープルオクルージョン機能も搭載されました。これらは、iPhone では XR以降、iPad では iPad Pro 11インチ、iPad Pro 12.9インチ(第3世代)、iPad Air(第3世代)、iPad mini(第5世代)で利用できるようです。
⑩位置情報公開
- 位置情報の公開ポリシーとして、「一回だけ許可」というオプションが増えました。位置情報のアクセスを求められたその時の一回だけ許可して、また次にアクセスが求められるとまた位置情報の利用を確認する仕様です。これはユーザにとってはとても安全性が高い良い仕様だと言えます。
⑪音声コントロール/音声入力
- まるで往年のテキストコマンドのRPGで move right なんてやってたのを彷彿とさせる音声コントロールが搭載されました。現在は英語のみ対応で、膨大なコマンドリストがあって覚えるのにちょっと苦労しそうではありますが、身体に障害のある方や、お料理中で手の放せないお母さんなんかには便利な機能です。画面操作はもちろん、UI操作もタップ、ダブルタップ、トリプルタップ、フィールドやボタン操作も可能で、go back で戻るボタン、go home でホームボタン、scroll down と言えば画面が下にスクロールし、open アプリ名でアプリを開き、ゲームアプリ操作まで音声でできると書いてあります。
- メール画面などでは、文脈を判別するエンジンが入力すべき文章と、処理すべきコマンドを適切に判断して処理を行います。show number と言えばタップできる全てのオブジェクトに番号を表示してくれ、tap 14 と言えば 14番目の項目をタップしてくるという具合です。
- また嬉しいアップデートとしては、音声入力用のカスタム辞書を定義できるようになりました。業界用語や名前など登録しておけば適切に文字変換してくれるようになります。
- 音声コントロールは全てデバイスローカルで処理されるのでインターネットは不要で、かつセキュリティもプライバシーも安全に保たれます。Google の Android 10 では、ジャスチャーで手を振ると画面がスクロールしたりというコマンドが実装されますが、UI にも新しい波が色々とやってきそうでワクワクしますね。
⑫App Store / Apple Arcade
- App Store からのアプリのダウンロードサイズが小さくなったのと同時に、キャリアネットワークでダウンロードできるアプリサイズ制限が撤廃されました。2Gのアプリでもダウンロードが可能で、大きいサイズの場合には追加料金とられるかもしれないから気をつけてねという警告が表示されるようになりました。
- Apple Arcade はゲームやり放題のサブスクリプションサービスです。一ヶ月の無料トライアル後は月額600円で100以上のタイトルが遊び放題で家族は6人までシェアできます。先にも書きましたが 10億人のユーザを持つ Apple ならではの、ゲーム開発会社との win-win なビジネスモデルと言って良いでしょう。
⑬運転中の通知を停止
- なんと公共の交通機関を自動で判別してくれ、公共の交通機関の場合は普段通りに通知してくれるようになりました。素晴らしい。
⑭「探す」アプリとオフライン位置情報検索機能の実装
- Find My iPhone と Find My Friends が1つの「探す」というアプリになりました。MDMからの機能制限では、別々に制限を設けることができます。
- あと、驚くべき新機能として紛失したり盗難されたデバイスがネットワークに繋がっていない場合でも、電源さえ入っていればそのデバイスの位置情報を探せるようになりました。これは近くに通信可能なiPhoneなどがあれば、 Bluetooth テザリングを応用したエンドトゥーエンド暗号化通信の実装で位置情報を送信できる仕組みのようです。これまた Apple デバイスの10億という母数がものを言うサービスであると言えます。
⑮「ファイル」アプリ
- ファイルというアプリが大幅に機能アップしました。USBドライブ、SDカード、外付けHDDにアクセス可能なだけではなく、SMBを使ったネットワークドライブへの接続もできます。
- Safariやメーラの添付ファイルなどもダウンロードフォルダーで一元管理でき、ローカルストレージにマイドキュメントのようなフォルダーを作って利用頻度の高いファイルを入れておくことも可能になりました。
- 最も大きい機能追加は ZIP ファイルの解凍機能でしょう。
- MDMではネットワークドライブ接続、USBなどの外部接続メディアアクセスを禁止する制限項目が追加されています。
⑯ゲームコントローラ
- これは Apple TV ユーザの方が嬉しいかもしれませんが、Apple TV , iPhone , iPad で PS4 と Xbox ゲームコントローラが接続可能になりました。これはちょっと嬉しいユーザ多いことでしょうね。
⑰「電話」アプリ
- 自動音声電話(ロボコール)を特定して遮断するためのSTIRおよびSHAKEN規格による発信者電話番号の安全性を通信事業者が確認できたことを示すチェックマークが着信履歴に表示可能になりました。また非通知着信や迷惑電話を自動的に留守番電話に転送する機能も実装されました。
⑱Safari ブラウザ
- アップロードする写真のサイズを大中小で選んでアップロード前にサイジングできるようになりました。またプライバシーに関しても位置情報、マイク、カメラへのアクセス許可をSafari単位ではなく、Webサイト単位に設定できるようになりました。これは良い機能です。
⑲スクリーンタイム
- ほぼ子供の管理のために用いられることが多くなったように思いますが、子供のデバイスの連絡先を保護者が管理できるようになりました。これは親としてはかなり安心できる機能です。
⑳省データモード
- 省電力モードのデータ版の省データモードです。キャリアネットワーク接続時や特定のWi-Fi接続時に無駄な同期や動画の自動再生、自動ダウンロードなどが無効化される機能です。FaceTime のビデオ通話のビデオ品質も低帯域用に最適化されるようです。
㉑コントロールセンター
- ヤッホー!コントロールセンターのWi-Fiアイコンを長押しするとアクセスポイント一覧が表示されWi-Fi接続先を切り替えられるようになりましたよ。Bluetooth も同じくアイコン長押しで Bluetooth 接続機器選択が表示されます。
㉒ジェスチャー
- 読んでるだけで混乱しますが、二本指や三本指でのジェスチャー操作が増えたみたいです。実は冒頭書いたバグの正体はこれで、そのせいでゲームプレイに多大な被害をもたらしているとか・・・実際3回タップしたり、4回タップしたり、三本指でピンチとかどれだけの人がやるんでしょうね?iPadならやるのかな??
㉓Wi-Fi
- WPA2 には深刻な脆弱性があるという提言を受け、Wi-Fiアライアンスによってより安全性が強化された WPA3 が規格化され、iOS 13 がそれに対応しました。と言ってる最中にはもう WPA3 の脆弱性が発見されたりして、ここら辺はイタチごっこな感は否めないのですが、WEP があっさりと退場したように遠からず WPA2 も退場するのでしょうね。
㉔エンタープライズ機能
- これは以前書きましたが、BYOD 機能がやっと実装されました。今までがプライバシー言ってた割には、MDMに登録されれば個人のデバイスの中身が見放題だよねと思ってたポイントが改善されます。それに伴って、今までMDMで管理していた個人のiPhoneは今までのようには管理や制限ができなくなります。これについては過去の記事「iOS 13 の本気モード BYOD とデバイス管理変更点 」をご覧ください。
- これに伴って DEP が Automated Device Enrollment という呼称に変わって少し動作も変わるようです。
- もう1つ興味深い機能として、SSO の際に IdP の認証を信頼されたデバイスの生体認証で代用できるようになることです。